12月27日の映画の開封日から見たいみたいと思っていた『男はつらいよ お帰り寅さん』を本日見てきましたので感想を書きたいと思います。
ちなみに1年前からずっと楽しみにしていました。
目次
『男はつらいよ お帰り寅さん』の感想
まずはこの映画を作ってくれた山田洋次監督始め出演者の方々、お金を出してくれた方々皆さんに感謝の気持ちで一杯です。
ありがとうございました!
多少のネタバレはしますので、これから見る予定の方はここから先は読まない方が良いかもしれません…
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私がこの映画に感謝したい事
とりあえず見終えて素直な感想としてこの映画に感謝したい事は下記です。
- 渥美清さんの死去後、突然尻切れトンボのように終わった”男はつらいよ”。それまで見てきた多くの人の中ではおそらく寅さんが宙ぶらりんの状態だったと思います。そんな宙ぶらりんだった物語をしっかり着地させていただき、エンディングで終わらせてくれた事に大感謝です
- 1995年12月公開の48作目から24年経過して出演者の方々にも色んな葛藤や思いがあったとは思いますが、もう一度、さくらに、ひろしに、満男に、泉に、多くの方が自分の役を全うしようとしてくれて感謝です
ストーリーや細かい部分は前作から24年も経過しているため違和感がある部分もあるし、その長い歳月を埋め切れていない雰囲気も見え隠れします。
でも、監督や出演者はじめ関係する方々が男はつらいよを愛する、寅さんが大好きなファンのために必死になって頑張ってくれた姿が目に浮かび本当に嬉しい限りでした。目頭が熱くなってしまう場面もありました。
満男の奥さんが亡くなっていたり、娘さんが良い子で物分かりが良すぎたり、満男が何故だか小説家として成功(たぶん出会いの機会のためかも?)しつつあったり、後藤久美子さんの後ろにどうしてもジャンアレジが重なったりと気になる点やご都合主義的な部分は確かにあります。
でも、そんな点はあまり重要ではないとも言えます。
この映画の目的は、ファンの方の中で宙ぶらりんになった寅さんを完結させてあげることだと思うからです。
その目的には、満男の娘さんが今風である必要はないし、主題歌を桑田佳祐が歌っても本質には影響しません。ちなみに桑田佳祐がオープニングで歌う演出はある意味で必要だったと思います。それは最後まで見たら分かるでしょう。
もちろん私個人としては満男と泉は結ばれて欲しかったし、おそらく当初はそうだったと思います。でも渥美清さんが亡くなってその構想も全て終わってしまいました。
今回の映画化があと10年早ければ、満男と泉が結ばれていた物語だった可能性もありますし、お亡くなりになった方も出演出来たかもしれません。ただ、そのタイミングでは後藤久美子さんは出演しなかったかもしれませんね。
そういう意味ではやはりifなんてなく、今このタイミングで映画化したからこそ後藤久美子さんも出演していただけて、物語が完結出来たのかもしれません。
そして、満男と泉のキスシーンなどもお互い大事な物が出来て違う道を歩んでいる中での一瞬の夢のようなもので、そこには優しい愛情と感謝の気持ちが溢れていたと思いました。寅さんが二人にその一瞬の夢をプレゼントしてくれたようです。
今回の映画、この物語はファンの方の男はつらいよを完結させてくれましたが、物語の満男や泉の人生を完結させてはいません。二人を含めて男はつらいよの各キャラクターの人生は1995年以降も続いているし、映画はその一瞬を切り取っただけです。
満男は奥さんを失くした事から再婚するかどうかは別としても作家として成功するために大事な時期だし、泉はママやパパとはやっぱり24年前と同じようで解決もしていませんが愛する子供や旦那さんのいる所に戻って仕事を頑張るしかありません。
何かが全部良い感じに解決したわけではなく、私を含む映画を観ている人と全く同じように、人生は色々な問題はあると思いますが、それらを抱えながら折り合いを付けながら、幸せを見つけて生きるしかないのです。
寅さんが”「生きてて良かった」と思える事がある事が生きている意味”、みたいな事を言うシーンがありますがその通りだと思います。私にとっては1年で1回あるかないかの名曲に出会った時に「自分はこの曲を聴いて感動するために生きていたんだ」と思ったりします。
映画のスタッフロールが終わって映画館が明るくなった時に、一緒に観ていた年配の方から「良かった」「良かったねー」という声が聞こえました。
今風でないとか、物語に無理があるとか、そんな事はあまり関係がないのです。この映画を観に来る人は男はつらいよが好きだし、気持ち良く終われば満足なんです。
男はつらいよに興味がない人や若い人などがこの映画だけ観た場合はつまらないと思います。過去作の回想シーンも多いし、この映画だけのストーリー何てほとんどあってないようなものです。そんな人にとっては最低評価でしょうね。
また、細かい点が気になる方も評価は低いと思います。正直蛇足です。無理に作る必要はなかったとも言えます。過去作とは質が違います。ひとつの映画としては成立していないような気もします。
よく続編を作るべきではなかったとかの意見もあります。私もそう思う作品はよくあります。ドラマ『結婚できない男』は続編何て見たくもありません。前作であんなに素敵な終わり方をしていて、それが無かったことにされて一体なんだったんだろうって思ったりします。
とは言え、例え結果的に駄作になったとしても作ってくれた事自体にはやっぱり感謝です。
満男と私は当時から年齢が近めであったので自分と重ねていました。満男は愛する人と結婚し子供も居て、もちろん色んな事があったと思いますが、今の私の不甲斐なさを比較してしまうと両親に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
一匹狼で平気ですが、とは言え親の気持ちになると本当に申し訳ないですね。
という事で、公開して半月経過してそろそろ映画館での公開が終わるかもしれませんので興味がある方はぜひ観に行ってみてください。